教育社会学研究
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論稿
校区の社会経済的格差と教師の役割認識
神村 早織
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2014 年 94 巻 p. 237-256

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抄録

 近年,学校教育における社会経済的格差の存在が広く可視化され,格差克服をめざす学校改善など,課題意識を持った研究が広まっている。しかし,日本の教師教育研究の多くは未だに社会的文脈から遊離しており,学校における格差の存在も,それと格闘する教師の姿もみえないままである。
 本研究は,教師の役割認識と資質能力としての共感性について,校区の社会経済的格差(格差高位群・格差平均群)の差異に着目して質問紙調査を行い,格差高位群の教師の特徴を明らかにすることを目的としている。
 本研究により2点の知見が得られた。第1に,格差高位群の学校の教師は,「人間関係・生活背景サポート役割」も「授業力で学力向上役割」も高く,また,高度な「両向型」共感性を備えており,その特徴を【生活背景支援役割志向性の強い「全力型」教師】と名付けた。第2に,格差高位群の学校に配属された初任者は,初任前期から初任後期にかけて,「人間関係・生活背景サポート役割」の因子得点も,「両向型」共感性の出現率も有意に高くなっており,格差高位群の学校が教師の育成にとって重要な環境要因となっている可能性を示唆するものであった。
 今後は,これらの知見をもとに,若い教師たちが,教科指導に偏重した限定的役割志向に陥ることなく,生活背景に困難のある子どもを支援し,格差克服をめざす学校づくりの担い手となるような教師教育の在り方を研究する必要がある。

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© 2014 日本教育社会学会
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