環境情報科学
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Print ISSN : 0389-6633
特集:生物多様性のための30by30目標の達成に向けて
30by30 目標と自然共生エリアOECM
生物多様性ビッグデータとシステム化保全計画に基づいた科学的アプローチの重要性
久保田 康裕
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2022 年 51 巻 4 号 p. 43-49

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抄録

自然保護区の拡大による生物絶滅の抑止効果は,「保護区を設置する場所」に依存する。一方,保護区は土地・海域の利用に関する法的規制を伴うため,保護区を拡大できる場所は,社会経済的に制限される。陸や海の空間計画には,生物多様性保全と社会経済的利用の調和が求められる。したがって,自然共生の理念を基に,ある空間を経済的に利用しつつ保全も副次的に達成するOECM によって,民間主導の保全事業を推進することは有望である。しかし,保全の実効性を担保するという観点では,OECM の難易度は低くなく,保全政策としては共同幻想に終わる可能性もある。生物多様性保全を目的としたOECM を長期的に駆動させる原動力として,生物多様性ビッグデータ・テクノロジープラットフォームが重要である。

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© 2022 一般社団法人環境情報科学センター
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