生活習慣病の予防には,食後早期の血糖値ならびにインスリン分泌の上昇を抑制することが重要である。本研究は,健常人12名を対象として,α-グルコシダーゼ阻害作用を持つ桑葉エキス(ELM)をでんぷん食品と一緒に摂取させ,食後血糖及びインスリン分泌に対する抑制作用を明らかにした。なお,本研究は,within-subjects, repeated measures designで実施した。米飯150g(糖質50g相当)とELM2.5g又は5.0g を添加した味噌汁を摂取した場合,コントロールである米飯150 gを摂取した場合に比べて,摂取30分後の血糖値及びインスリン分泌が有意に抑制された(p<0.05)。また,カレーに3.3g又は6.5gのELMを添加して米飯と一緒に摂取した場合にも食後早期血糖及びインスリン分泌抑制作用が観察された(p<0.05)。一方,米飯とELMを同時摂取することによって呼気への水素ガス排出は顕著に観察された。以上の結果,でんぷん食品とELMを同時に摂取するとELMの用量依存的に,食後血糖及びインスリン分泌を効果的にコントロールできることが明らかになった。また,ELMを含有する食品開発は2型糖尿病の予防に貢献できるものと考える。
(オンラインのみ掲載)