栄養学雑誌
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大量調理における揚げ油の化学性状と色相の変化の一例
森 光寿立石 小百合戸谷 永生
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2011 年 69 巻 2 号 p. 82-89

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抄録

【目的】大量調理に使用される揚げ油の劣化に関するデータを収集し,揚げ油劣化の簡便な検査方法について検討する。
【方法】大学内食堂で連続的に揚げ作業に使用している油の化学性状分析と色相の測定を行った。
【結果】本大学食堂の揚げ油は,1日に3時間,連続9日間使用される場合,酸価(AV)は食品衛生法に定められる範囲内にあり,カルボニル価(COV),極性化合物量(PC),トリアシルグリセロール量(TG),色相はそれぞれ2~10,5~18%,90~98.5%,G1~12となった。AV,COV,PCと色相ガードナーの変化の相関性は高かったが,AV,COV,PC,色相ガードナーとTGの変化は相関性が低かった。
【結論】本大学食堂で揚げ調理に使用される油のAV,COV,PCと色相ガードナーの変化はよく相関するため,測定が簡便・安価な色相ガードナーを,揚げ油劣化の進捗を測定する方法として調理現場で利用可能なことが示唆された。

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© 2011 特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
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