栄養学雑誌
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市町村栄養士の事業マネジメントに関する自己効力感とその要因
五十嵐 美絵吉田 亨
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2011 年 69 巻 3 号 p. 148-159

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抄録

【目的】市町村栄養士は非常に少人数で,多岐にわたる栄養業務は限られた数の栄養士によって行われている。したがって,栄養士が十分に潜在能力を発揮することは重要である。そこで,栄養士の自己効力感を増加させることが非常に重要であるため,それらの業務への自己効力感の要因を探ることを本研究の目的とした。
【方法】群馬県及び近県5県の市町村に勤務する行政栄養士協議会員393人全員を郵送調査し,233人から回答を得た(回収率59.3%)。
【結果】最初に,業務への自信の程度26項目を用いて探索的因子分析をおこなった。結果は,第1因子「事業マネジメント」,第2因子「連携体制づくり」,第3因子「一般的指導・支援」が抽出された。次に,寄与率の最も高い第1因子から作成した「事業マネジメント自己効力感」尺度を従属変数とし,その尺度得点に有意な差や相関のあった項目を独立変数として重回帰分析を行った(R2=0.509,p<0.001)。その結果,「指導の効果がみられた経験」(β=0.237,p<0.01)と「事業マネジメント業務の主体的実施経験」(β=0.237,p<0.01)が大きく影響していた。加えて,「事業マネジメント自己効力感」に大きく影響した2つの要因を同様に分析した。「指導の効果がみられた経験」には,「主体的な成人期の指導・支援の経験」(β=0.191,p<0.05)が影響していた(R2=0.436,p<0.001)。「事業マネジメント業務の主体的実施経験」には,「自分が主体となって事業を企画・立案・実施し,うまく行うことができた経験」(β=0.390,p<0.001)が最も大きく影響していた(R2=0.624,p<0.001)。
【結論】市町村栄養士にとって,市町村栄養士業務の自己効力感を向上させて,上記の要因に焦点をあてることが,非常に重要であることが示唆された。

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© 2011 特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
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