69 巻 (2011) 5 号 p. 253-260
【目的】小学校で食の安全教育を幅広く行っている教職員の特徴を検討し,リスクの考え方が教えられているかを調べること。
【方法】全国の学校栄養士,家庭科教諭,養護教諭の計3,225人に自己記入式質問紙調査を実施し,食の安全教育の実施内容,他の教職員との連携などをたずねた。食の安全教育の実施内容を回答項目数の中央値で2群に分け,他の項目とクロス集計及びχ2検定を行った。次に,単変量及び多変量ロジスティック回帰分析を行い,食の安全教育の実施内容の項目数が多い群(以下,食の安全教育の多い群)の関連を検討した。また,リスクの考え方を教えている人の職種の分布を調べた。
【結果】有効回答数は800人(24.8%)であり,食の安全教育の多い群は398人(49.8%),少ない群は402人(50.3%)であった。多変量ロジスティック回帰分析の結果,食の安全教育の多い群には,家庭科教諭(学校栄養士に対するOR: 5.30, 95%CI: 3.17-8.85),他の教職員との連携(「していない」に対する「している」OR: 3.55, 95% CI: 1.59-7.92)などが関連していた。リスクの考え方を「少し教えている」「教えている」と回答した人は,全体の228人(28.5%)であった。
【結論】食の安全教育の多い群の教職員は,家庭科教諭である,他職種との連携があることなどが示された。リスクの考え方を教えている割合は約3割であった。今後,小学校におけるリスクの考え方を含めた食の安全教育の方法を検討する必要がある。