2012 年 70 巻 5 号 p. 283-293
【目的】北海道農村地域住民において,食材の入手経路の観点から総野菜摂取量と自家製野菜摂取量との関連について検討すること。
【方法】北海道美深町に居住する30歳以上の成人を対象に春夏秋冬の4季節における平日2日間の食事調査(食事記録法)を行い,食材の入手手段(自家製,もらいもの,購入),食事内容を記録した。男女44名を解析対象とした。年平均の1日あたりの総野菜摂取量から野菜摂取高群と低群に分け,両群の食品群別摂取量を比較検討した。また,非農業従事者,農業従事者別の野菜摂取高群,低群の入手手段別野菜摂取量を比較検討した後,総野菜摂取量に寄与する因子を検討するため,非農業従事者,農業従事者別に重回帰分析を行った。
【結果】総野菜摂取量の高群は緑黄色野菜,その他の野菜ともに低群に比べて有意に多く摂取していた。非農業従事者においては,野菜摂取高群では低群よりも自家製野菜を摂取している者が有意に多く,かつ,自家製野菜の摂取量が有意に多く,摂取割合も有意に高かった。農業従事者においてはほぼ全員が自家製野菜を摂取していたが,野菜摂取高群では低群に比べ,自家製野菜摂取量が有意に多かった。また,農業従事者群,非農業従事者群ともに総野菜摂取量に対して自家製野菜,もらいもの野菜摂取量が大きく寄与していることが示された。
【結論】自家製野菜を摂取していることと総野菜摂取量が多いことの関連が示唆された。