【目的】社会的認知理論を活用した幼児の偏食に関する保護者の関わり方についての親子対象プログラムの実践を報告する。
【方法】2011年5~7月,都内幼稚園1園に通う園児と保護者および児童館1館の幼児クラブの幼児と保護者を対象に,社会的認知理論に基づいた子どもの偏食に関するプログラムを実施した。プログラムの内容は,親子を対象としたパネルシアター会と食育だよりの配布であった。プログラムを評価するため,保護者を対象に自己記入式質問紙調査を行った。解析対象者は,事前事後の質問紙に回答した幼稚園62名,児童館29名とした。
【結果】子どもが食べないことに対する不安,苦手な食べ物を食卓に出す頻度,子どもが食べない頻度は,事前事後で統計的に有意な変化はみられなかった。しかし,子どもが食べない際の保護者の関わり方である“過去の成功体験を思い出させる方法”は,幼稚園で用いる者が増加した(χ2=9.60,p=0.01)。プログラム全体のコメントでは,食育だよりの内容を知っている者が多く,最新の知見などを掲載することが求められた。その他,子どもの偏食に対する不安が軽減されたと回答している者もあった。
【結論】幼児の偏食をテーマにとりあげ,親子を対象に社会的認知理論に基づいたプログラムを実践した結果,子どもの偏食に対する不安が軽減したなどの意見も得られた一方,内容の改善の要望もあった。今後の課題としてプログラムの改善と効果検証が必要である。