栄養学雑誌
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母親の聞き取り調査および診療録から見た低出生体重児がNICU退院時に母乳栄養となる要因の解析
豆本 公余久保田 優東山 幸恵永井 亜矢子箕輪 秀樹安原 肇
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2013 年 71 巻 1 号 p. 21-28

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抄録

【目的】低出生体重児が母乳だけでNICUを退院する(以下:母乳栄養)要因を検討する。
【方法】奈良県立奈良病院発達外来に通院する低出生体重児(59人)とその母親(48人)を対象とした。母親から母乳栄養に関係する事項の聞き取り調査を行い,あわせて,妊娠中と分娩時,低出生体重児のNICU入院中の状態を診療録から収集した。
【結果】退院時母乳栄養は,母親12人(25.0%),低出生体重児14人(23.7%)であった。母乳栄養群と混合・人工栄養群に分けて検討した所,単変量解析では,母親側の要因として母親の年齢,低出生体重児側の要因として経口栄養開始日が母乳栄養と有意の関連があった。すべての因子を考慮に入れた多変量解析では,新生児における経口栄養開始日に有意の差が見られた。また,搾乳開始日が早く1日の搾乳回数が多いほど(6回以上)母乳栄養を選択する割合が有意に高かった。カンガルーケア実施有りは有意に母乳栄養群に高かったが,母親の面会頻度や母親教室への参加の有無には差がなかった。母親の母乳に対する好ましいイメージや母乳の分泌が良好であることは母乳栄養への正の要因となったが,分泌不良も含めて母乳栄養への疲労感や辛さ,就業が負の要因となった。
【結論】低出生体重児の母乳栄養を実現するためには,母乳分泌の維持が必要であり,早期からの定期的な搾乳と経口栄養開始の実施が大きな要因となる。

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© 2013 特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
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