栄養学雑誌
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原著
地域在住中高年男女における出生コホート別の10年間の魚介類およびEPA・DHA摂取量の推移
大塚 礼加藤 友紀今井 具子安藤 富士子下方 浩史
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2013 年 71 巻 4 号 p. 185-195

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抄録

【目的】中高年男女における出生コホート別の10年間の魚介類摂取量とEPA・DHA摂取量の推移を明らかにする。
【方法】第1次(1997~2000年)から第6次調査(2008~2010年)まで,2年に一度,地域から無作為抽出した中高年者において3日間の食事秤量記録調査を実施し,第1次と,第2次から第6次調査に1回以上参加した40から79歳の男女1,799人を解析対象者とした。線形混合モデルを用い,第1次から第6次調査の約10年間における魚介類,EPA・DHA摂取量に対する年齢群(第1次調査の40,50,60,70歳代),第1次調査からの経過年数,両者の交互作用の効果を推定した。エネルギー摂取量を考慮した際の効果も推定した。
【結果】魚介類摂取量は,男女ともに50,60歳代でのみ低下したが,2,000 kcal摂取した場合の魚介類摂取量を推定すると,女性の50歳代では 1.19 g/年,男性の60歳代では 0.85 g/年,摂取量が低下傾向を示した。他の年齢群では魚介類摂取量の有意な低下は認められなかった。EPA・DHA摂取量は,40歳代では女性で 8.16 mg/年(p=0.04),男性で 9.53 mg/年(p=0.053)増加傾向が認められた。
【結論】エネルギー摂取量を調整しても,10年間に魚介類摂取量は女性の50歳代と男性の60歳代では低下していた。40歳代の男女ではEPA・DHA摂取量が上昇傾向を示した。

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© 2013 特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
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