栄養学雑誌
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菓子の摂取比率区分別にみた栄養状態の評価
小林 実夏石田 好美堀口 美恵子
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2013 年 71 巻 6 号 p. 341-349

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抄録

【目的】若年女性を対象に菓子の摂取比率区分別にみた栄養状態の評価を行うことを目的とする。
【方法】若年女性887名(年齢20.3±1.5)を対象に,半定量食物摂取頻度調査票による食事調査を行い,栄養素・食品摂取量を算出した。また,推定ヘモグロビン量と音響的骨評価値を計測し,それぞれ貧血と骨密度の指標とした。菓子の摂取比率の指標として,菓子のエネルギー比率(菓子からのエネルギー摂取量が総エネルギー摂取量に占める割合)を算出した。菓子エネルギー比率により対象者を5分位に分け,菓子の摂取比率による栄養素・食品摂取量,身体計測値の比較をした。
【結果】菓子の摂取比率が高くなるにつれ,脂肪エネルギー比率,飽和脂肪酸エネルギー比率の増加がみられた(p<0.001)。菓子摂取比率が最上位群ではやせの者(BMI18.5未満)の割合が多かったが,菓子摂取比率と骨密度・貧血の指標との関連はみられなかった。菓子の摂取比率が高いほど,飽和脂肪酸,カルシウムおよび鉄摂取量への菓子の寄与率が高くなった。
【結論】菓子の摂取比率によって若年女性の菓子の摂取比率を把握し,栄養状態を評価した結果,若年女性では菓子の摂取比率が高い群で,脂肪エネルギー比率,飽和脂肪酸エネルギー比率が高い,適切な食品からカルシウム,鉄を摂取していないなどの問題が明らかになった。青年期の好ましくない食生活が続くことで将来の生活習慣病につながる可能性が危惧される。

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© 2013 特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
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