抄録
【目的】高血圧自然発症ラット(SHR)を用い,血圧に関連する大動脈の内皮型一酸化窒素合成酵素(eNOS)およびアンジオテンシンIIタイプ1(AT1)受容体のたんぱく質発現に及ぼすカムカム(Myrciaria dubia)果実の果皮抽出液の影響を検討した。
【方法】高血圧自然発症ラット(SHR)に1日1回5週間毎日カムカム果実の果皮抽出液を胃ゾンデを用いて経口投与した。血圧上昇に対する抑制メカニズムについて,血圧測定と血管弛緩に関与するNOS活性およびeNOSたんぱく質,血管収縮に関与する血清アンジオテンシン変換酵素(ACE)活性およびAT1受容体たんぱく質の両面から検討した。
【結果】非投与群(n=5)に比較して,投与5週目の収縮期および拡張期血圧が有意に低値であった。カムカム果皮抽出液の投与は,大動脈eNOS活性,大動脈eNOSたんぱく質の発現,血清ACE活性に有意な影響は与えなかったが,非投与群に比較して,大動脈AT1 受容体たんぱく質の発現が有意に低値であった(p<0.05)。
【結論】このことから,SHRにおけるカムカム果皮抽出液の血圧上昇抑制の一因として,大動脈AT1受容体の抑制が関与する可能性が示唆された。