栄養学雑誌
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日本人小児の野菜摂取を促す教育プログラムに関わる研究論文における報告の質の検討
岩部 万衣子岩岡 未佳吉池 信男
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2014 年 72 巻 3 号 p. 166-179

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抄録
【目的】我が国では,CONSORT声明(2001)に基づき作成された栄養・食生活に関わる介入研究の報告の質を判断するチェックリスト(川崎ら,2011)(以下,リスト)がある。本研究では,このリストを2010年改訂の同声明に基づき改編し,(1)小児の野菜摂取を促す食教育に関する論文の報告の質に違いがあるか,(2)このリストは川崎らの先行研究で分析の対象とされていなかった同分野の論文((1)の対象論文)の報告の質を判断する際にも適用可能かを検討した。
【方法】データベース(医学中央雑誌,CiNii,PubMed)検索とハンドサーチ(栄養・食・小児に関する17誌)により,2003~2012年刊行の目的に合致した論文を採択した。川崎らのリスト34項目を39項目の構成に改編し,記述が必要と考えられる項目がどの程度各論文に記述されているかを得点化し,研究デザイン別,雑誌区分別に比較した。
【結果】採択論文29件中,非無作為化比較試験(non-RCT)6件,前後比較研究17件,ケースシリーズ5件,複数のデザインを含む研究1件であり,査読のある雑誌20件,それ以外9件であった。全29論文では,リスト39項目(計47点)の項目記述数得点24.0(範囲10~40)点であった。研究デザイン別ではnon-RCT,前後比較研究,ケースシリーズの順に,雑誌区分別では査読のある雑誌で項目記述数得点は高かった。
【結論】リストは,小児の食教育に関する論文にも適用可能であり,研究デザインや雑誌区分によって報告の質が異なることを数値として示すことができた。
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© 2014 特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
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