【目的】本研究は健康食品素材のひとつであるレスベラトロールの安全性に関する科学的根拠を提供することを目的とし,閉経後早期モデル動物における肝臓薬物代謝酵素cytochromeP450(Cyp)遺伝子発現に対するレスベラトロールの影響を評価した。
【方法】8週齢のddYマウスに偽手術(Sham)あるいは卵巣摘出手術(OVX)を施した。卵巣を摘出したマウスをOVX群,レスベラトロール 0.1 mg/日投与群(OVX+Res 0.1),レスベラトロール 0.5 mg/日投与群(OVX+Res 0.5),エストロゲン(E2)0.03 μg/日投与群(OVX+E2)の4群に分けた(各群6匹)。レスベラトロール投与による肝臓薬物代謝酵素Cyp遺伝子発現への影響を評価するため,投与2週間後に解剖し,肝臓のDNAマイクロアレイ解析を行った。
【結果】2週間のレスベラトロール投与は体重や肝臓重量に顕著な影響を与えなかった。DNAマイクロアレイ解析の結果,OVX+Res 0.5 群の肝臓Cyp2b9,Cyp2d10,Cyp2d13,Cyp2d26,Cyp2e1,Cyp4a10 の遺伝子発現がSham群と比較し有意に低値を示した。また,Cyp3a41 の遺伝子発現はOVXにより有意に増加したが,レスベラトロール 0.5 mg/日投与はOVXによる増加を有意に抑制した。
【結論】閉経後早期モデルマウスにおいて,2週間のレスベラトロール投与は肝臓薬物代謝酵素Cyp遺伝子発現を抑制する可能性が示唆された。