栄養学雑誌
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レスベラトロールが閉経後早期モデルマウスの肝臓薬物代謝酵素遺伝子発現に及ぼす影響
東泉 裕子市田 尚子西出 依子石見 佳子
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2014 年 72 巻 4 号 p. 193-199

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抄録

【目的】本研究は健康食品素材のひとつであるレスベラトロールの安全性に関する科学的根拠を提供することを目的とし,閉経後早期モデル動物における肝臓薬物代謝酵素cytochromeP450(Cyp)遺伝子発現に対するレスベラトロールの影響を評価した。
【方法】8週齢のddYマウスに偽手術(Sham)あるいは卵巣摘出手術(OVX)を施した。卵巣を摘出したマウスをOVX群,レスベラトロール 0.1 mg/日投与群(OVX+Res 0.1),レスベラトロール 0.5 mg/日投与群(OVX+Res 0.5),エストロゲン(E2)0.03 μg/日投与群(OVX+E2)の4群に分けた(各群6匹)。レスベラトロール投与による肝臓薬物代謝酵素Cyp遺伝子発現への影響を評価するため,投与2週間後に解剖し,肝臓のDNAマイクロアレイ解析を行った。
【結果】2週間のレスベラトロール投与は体重や肝臓重量に顕著な影響を与えなかった。DNAマイクロアレイ解析の結果,OVX+Res 0.5 群の肝臓Cyp2b9,Cyp2d10,Cyp2d13,Cyp2d26,Cyp2e1,Cyp4a10 の遺伝子発現がSham群と比較し有意に低値を示した。また,Cyp3a41 の遺伝子発現はOVXにより有意に増加したが,レスベラトロール 0.5 mg/日投与はOVXによる増加を有意に抑制した。
【結論】閉経後早期モデルマウスにおいて,2週間のレスベラトロール投与は肝臓薬物代謝酵素Cyp遺伝子発現を抑制する可能性が示唆された。

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© 2014 特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
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