抄録
【目的】本研究は,長寿県である沖縄県離島の保育所乳幼児を対象として選び,授乳法ならびに離乳期間が保育所乳幼児の腸内細菌叢に及ぼす影響について検討した。
【方法】期間は2008年10月27日から11月20日,対象は同意が得られた保育所乳幼児117名である。調査は腸内細菌叢の分析および対象の保護者に自記入式により授乳と離乳に関する調査を実施した。なお,腸内細菌叢の分析はNagashima法によるT-RFLP法で行い,クラスター解析を行った。
【結果】年齢別に見ると,0歳時,1~2歳児は,3~5歳児と比べて有用菌の割合が有意に高い値を示した。授乳法別におけるBifidobacteriumの割合は,完全母乳32.8±2.6%,混合栄養24.2±1.5%,人工栄養19.0±1.8%(平均値±標準誤差)であり,完全母乳が他の2群に比べて有意に高い数値を示した。離乳期間別のBifidobacteriumの割合は,離乳期間6ヶ月間以下20.0±7.4%,7~14か月間26.3±10.9%(平均値±標準誤差)であり,後者が有意に高い数値を示した。
【結論】腸内環境を健全に保つはたらきを持つBifidobacteriumなどの有用菌の占有率を高く維持するには,まず,母親には授乳法および離乳期間を考慮した食育が必要であり,乳幼児においては,保育所で腸内環境改善のための食材を取り入れた献立などの提供が必要であると考えられた。