抄録
【目的】高校生の食育の基礎資料とするために,食生活改善への準備性からみた変容ステージ別に食・生活習慣及び自己効力感の特徴を明らかにすることを目的とした。
【方法】対象は兵庫県内のA高等学校(公立)に在籍する1年生320名とした。食生活改善への準備性からみた変容ステージは,Transtheoretical Modelに基づいて作成した5段階の選択肢から決定した。食・生活習慣は,無記名自記式の食・生活習慣に関する質問紙及び半定量食物摂取頻度調査票を用い,自己効力感尺度は,食生活改善について「できる」から「できない」までの5件法で質問紙を用いて調査した。
【結果】対象生徒の変容ステージ分布は,前熟考期(30.4%)と熟考期(50.2%)で,全体の約8割を占めた。変容ステージ別にみた食・生活習慣の特徴は,男子では身体活動レベルのスコアが準備期以上で変容ステージが上がるに従い高かったこと(p=0.011),女子では変容ステージが上がるに従い食事摂取状況の評価点が高かったことであり(p=0.018),いずれも変容ステージ別間で有意な差が認められた。また,自己効力感の点数は,男女共に変容ステージが上がるに伴い高くなることも明らかとなった(男子:p=0.005,女子:p=0.01)。
【結論】本研究結果から,高校生男子では身体活動レベルのスコア,女子では食事摂取評価点が,食生活改善への準備性からみた変容ステージが上がるにつれ高くなること,および,自己効力感も男女共に高まることが示唆された。