栄養学雑誌
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小学校5年生児童における給食の食べ残しおよび給食の楽しさとQOLの関連性
坂本 達昭細田 耕平
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2015 年 73 巻 4 号 p. 142-149

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抄録

【目的】小学校5年生の給食の食べ残し状況,給食を残さず食べる自信および給食の楽しさとQOL(Quality of Life)との関連性を検討した。
【方法】2014年9月から10月にかけて福井県内の小学校9校の5年生607名を対象に調査を実施し,有効回答が得られた566名を解析対象とした。QOLの測定には,6つの下位領域(身体的健康,精神的健康,自尊感情,家族,友だち,学校生活)から構成される小学生用のQOL尺度(Kid-KINDLR)を用いた。児童を給食の食べ残し状況,給食を残さず食べる自信,給食の楽しさについての質問項目の回答により,それぞれ2群に分け,QOL総得点および下位領域の得点をMann-WhitneyのU検定により比較した。
【結果】男子においては,給食を残さず食べている児童は,給食を残すことがある者に比べて,また,給食を残さず食べる自信がある児童は,自信がない者に比べて QOL総得点が有意に高かった。一方,女子においては,給食の食べ残し状況および給食を残さず食べる自信の有無により,QOL総得点に差は認められなかった。給食の時間をとても楽しいと感じている児童は,男女ともにQOL総得点および精神的健康,自尊感情,友だち等の下位領域の得点が有意に高かった。
【結論】給食の時間を楽しいと感じることは,男女ともに精神的健康,自尊感情,友だち等の下位領域を含めたQOLの良好さに関連することが示唆された。

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© 2015 特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
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