栄養学雑誌
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実践報告
生活習慣病男性患者における家族同伴栄養指導の有効性
木下 康子増澤 康男
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2015 年 73 巻 5 号 p. 204-212

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抄録

【目的】生活習慣病男性患者へ効果的な栄養指導を行うため,栄養指導時における家族同伴の有効性について,食事療法の継続,治療成績等の点から明らかにすることを目的とした。
【方法】家族のある生活習慣病男性患者に食事療法の継続等について質問紙調査を実施し,栄養指導時に家族が同伴した患者(同伴群)55人,単独患者(単独群)27人に分けて比較した。また,質問紙調査の対象者以外も加えて検査値が得られた糖尿病患者を同様の2群に分け,栄養指導開始後3ヶ月,6ヶ月のHbA1c(JDS値),空腹時血糖値を指導開始時と比較すると共に,指導開始時との差を2群間で比較した。
【結果】「食事療法を守っていますか」,「家族への働きかけを希望しますか」という質問に対する回答の分布は,同伴群と単独群で差がみられた。また,同伴群で治療方針が食事療法の患者では栄養指導開始3ヶ月後のHbA1cが,食事療法と服薬併用の患者では3ヶ月後及び6ヶ月後にHbA1cが有意に低下したが,単独群では,食事療法と服薬併用の患者の3ヶ月後のみ有意な低下がみられた。治療開始時からの検査値の差を両群間で比較したところ,食事療法のみの場合には,6ヶ月後のHbA1cに有意差がみられた。
【結論】男性患者では栄養指導時における家族同伴が,食事療法の継続,血糖コントロールに有効である可能性が示唆された。

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© 2015 特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
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