栄養学雑誌
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小型の測定容器を用いた特別用途食品えん下困難者用食品の物性測定方法の開発
竹林 純山内 淳東泉 裕子石見 佳子
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2017 年 75 巻 3 号 p. 104-112

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抄録

【目的】特別用途食品(えん下困難者用食品)の表示許可に係る試験では,直径 40 mm×高さ 15 mmの容器を用いて,物性(硬さ,付着性,凝集性)が測定されてきた(従来法)。ところが,近年この容器に満たない体積の食品が流通している。そこで,小型の容器を用いて試験を行う方法を開発し,その性能を試験室内で評価した。
【方法】食品の物性はクリープメータを用いて測定した。直径 30 mm×高さ 15 mmの小型の容器に適したプランジャーのサイズについて検討し,新法を構築した。従来法及び新法を用いて,えん下困難者用食品の許可基準ⅠまたはⅡに相当する10種類の市販食品の測定を行い,両者の物性を比較した。さらに,試験者間の再現性についても検討した。
【結果】直径 30 mmの小さな容器に適したプランジャーは,直径 16 mmの円柱型であった。食品の測定結果は,従来法と新法の間でいずれの項目も非常に高い直線性(R2≧0.987)を示した。ただし,新法による測定値は従来法と比較して,硬さで95%程度,付着性で142%程度,凝集性で85%程度であった。新法の分析精度は概ね従来法と同程度であり,試験者間における測定値のばらつきは同一試験者のそれに比べて1~2.3倍であった。
【結論】小包装の食品について,従来の方法では適用困難な場合の分析方法を構築した。本検討と類似した物性を有する食品については,新法で得られた測定結果に,硬さは1.1,付着性は0.7,凝集性は1.2を乗じて補正することで,従来通り評価できると考えられた。

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© 2017 特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
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