栄養学雑誌
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研究ノート
30歳代における食生活リテラシーと回想法による子どもの頃の共食・食教育との関連
髙泉 佳苗
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2019 年 77 巻 2 号 p. 54-64

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抄録

【目的】30歳代を対象に,現在の食生活リテラシー尺度と子どもの頃の共食状況および子どもの頃に家庭で受けた食教育との関連を検討した。

【方法】社会調査会社のモニター(30~39歳)9,356人を対象に,2017年1月27日~29日の3日間でウェブ調査を実施した。分析対象は2,000人(男性1,018人,女性982人)であった。子どもの頃の共食状況と子どもの頃に家庭で受けた食教育は回想法により調査した。共食状況との関連はロジスティック回帰分析を用いた。食教育との関連は重回帰分析(強制投入法)を用いた。

【結果】男性では子どもの頃に朝食(調整オッズ比:1.48(95%CI: 1.12~1.95))または夕食(調整オッズ比:1.90(95%CI: 1.29~2.81))を大人と一緒に共食している者の食生活リテラシー尺度が高かった。女性では朝食および夕食の共食と食生活リテラシー尺度に関連は認められなかった。食生活リテラシー尺度に好影響を示した子どもの頃に受けた食教育は,男性では「好き嫌いせずに食べるように言われていた(β=0.11,p=0.015)」,「食事づくりを手伝っていた(β=0.11,p=0.008)」であった。女性では,「主食,主菜,副菜のそろった食事だった(β=0.08,p=0.047)」,「食事づくりを手伝っていた(β=0.11,p=0.006)」であった。

【結論】男性では子どもの頃に大人と一緒に共食すること,また男女共に,子どもの頃の家庭における特定の食教育が,成人期の食生活リテラシーを形成する要因になっている可能性が示唆された。

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© 2019 特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
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