栄養学雑誌
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研究ノート
地域在住高齢者に対する介護予防事業における栄養改善プログラムの評価
千田 茉登佳五味 郁子
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2019 年 77 巻 4 号 p. 85-96

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抄録

【目的】栄養改善プログラムについて,アウトカム評価に加え,プロセス及びストラクチャー評価の方法を検討,実施した。

【方法】高齢者29人(男性7人,女性22人,平均年齢71.8±4.9歳)を対象に,プログラム前後に血液検査値,身体測定値,栄養摂取量,主観的健康感,食生活に対する行動変容ステージについてデータを得た。プログラム実施後には,アウトカム評価に加え,介護予防事業のガイドラインや先行研究を参照して作成したプロセス評価とストラクチャー評価についての事業評価を行った。

【結果】31.0%の者がプログラム後に食生活に対する行動変容ステージが有意でないが改善傾向を示した(p=0.129)。エネルギー摂取量は 2,124±746 kcalから 2,398±808 kcal,たんぱく質摂取量も95.7±41.4から 111.7±41.1 g/日に有意に増加した(いずれもp=0.005)。また,低栄養傾向を示す者では,BMIや血清アルブミン値の低下を抑止した。プロセス評価,ストラクチャー評価は,2者の管理栄養士により行われ,評価点の一致・不一致の確認をとおして,プログラムの課題や成果が得られた要因について抽出することができた。

【結論】栄養改善プログラムにより,食生活に対する行動変容ステージや栄養摂取量の改善といったアウトカムを得ることができた。また,プロセス及びストラクチャー評価の実施により,プログラムの品質改善に寄与すると考えられた。

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© 2019 特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
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