栄養学雑誌
Online ISSN : 1883-7921
Print ISSN : 0021-5147
ISSN-L : 0021-5147
原著
高校3年間の追跡調査による食生活改善への準備性からみたセルフエフィカシーと行動変容ステージの関連
木林 悦子
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 79 巻 2 号 p. 53-63

詳細
抄録

【目的】高校3年間の追跡調査により,食生活改善への準備性からみたセルフエフィカシーと行動変容ステージの学年比較及び関連を明らかにする。

【方法】兵庫県A高等学校の2012年度入学生320名のうち,家庭教科専門科目選択者を除き,2014年の3年まで継続して回答が得られた225名を対象とした。セルフエフィカシーは,食生活改善ができるか否かを5件法より得た。セルフエフィカシーと行動変容ステージの学年比較はFriedman 検定,3年におけるこれらの関連は共分散構造分析後,セルフエフィカシーの信頼性を検討するために開発した12項目のセルフエフィカシー尺度を従属変数,性別を調整因子とした二項ロジスティック回帰分析をした。

【結果】高校3年間で男子はセルフエフィカシーの「やや改善できると思う」及び「改善できる」者が減少し,行動変容ステージの前熟考期が増加したが,女子ではいずれも学年別に有意差はなかった。共分散構造分析では,セルフエフィカシーから行動変容ステージへの有意な正のパスが示された。ロジスティック回帰分析の結果,準備・実行・維持期を基準として,前熟考期におけるセルフエフィカシー低得点群のオッズ比が有意に高かった。

【結論】高校3年間で,食生活改善への準備性からみたセルフエフィカシーと行動変容ステージの伴った,男子における低下と女子の変化なしの実態が明らかとなった。食生活を改善させるには,セルフエフィカシーを高める教育支援の充実が望まれる。

著者関連情報
© 2021 特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
次の記事
feedback
Top