栄養学雑誌
Online ISSN : 1883-7921
Print ISSN : 0021-5147
ISSN-L : 0021-5147
魚肝油ビタミンAの生物効力に関する研究
馬場 春夫
著者情報
ジャーナル フリー

1961 年 19 巻 3 号 p. 136-152

詳細
抄録

1. 魚肝油および分子蒸溜魚肝油についてマレイン価を測定し, それから生物効力を算定する方法を検討したところ, 大約マレイン価35, 比生物効力65%をえた。
2. 魚肝油の鮮度, 蒸溜による影響を考慮して検討したところマレイン価から求めた生物効力は魚肝油の鮮度処理により比生物効力が90%付近のものもあることを認めた。
3. 合成ビタミンA油について, 同様の検討を行ない, さらに紫外線照射による異性化を観察したが, 合成アセテート, パルミテートはほとんど全トランス型Aと考えられるが, 貯蔵処理のいかんによつては比生物効力は75%にも低下することを認めた。
4. 飼料中のビタミンA異性体の分布の肝中ビタミンAに及ぼす影響を検した。in vivo にはほとんどその分布に差異を生ぜずただその蓄積量にのみ影響し, その割合は飼料中ビタミンAの比生物効力を示すようである。in vitro の場合はSRIを与えた場合, マレイン価の減少が見られた。また腸管におけるSRIの異性化については著るしくなかつた。
5. マレイン価と生物効力の関係を成長試験において確かめるため1, 2の試料肝油についてしろねずみによる growth assay を検討した。その結果はマレイン価の測定による生物効力の算定値とほぼ一致した値を示した。

著者関連情報
© 特定非営利活動法人日本栄養改善学会
前の記事
feedback
Top