栄養学雑誌
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蒟蒻マンナン分解に關與する腸内細菌に關する研究 (補遺)
井上 憲政
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1942 年 2 巻 1 号 p. 9-18

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抄録

(1) 人體に就き蒟蒻マンナンの消化實驗を試みたり. 蒟蒻は市販蒟蒻製品を用ひすして, 蒟蒻精粉より蒟蒻糊を作り, 之を一定献立中に附加攝取せしめ, 蒟蒻マンナンの消化程度を檢したるもにのして, 蒟蒻糊の含水炭素の不吸收率は蒟蒻期と對照期に於ける糞便中の葡萄糖として計算せる糖量の差より算出せり. 蒟蒻糊の1日攝取量は精粉として30g, 其の含水炭素は葡萄糖として24gにして1日糞便中の兩試驗期糖量の差は0.12gなり. 即ち0.12÷24=0.005にして不吸收率は0.5%となり, 99.5%の消化率を示せり.
(2) 蒟蒻マンナンの動物體榮養試驗には同腹の鼠を試驗動物として選び, 對照群, 10%蒟蒻群及び20%蒟蒻群に分ち, 各群何れも♂1匹宛♀2匹宛を當て飼育し, 増加體重並びに成長曲線より觀察し, 蒟蒻群は對照詳に比し, その成長僅微に劣るを認めたれども, 唯1例10%蒟蒻群の♂に於て對照群の♂に比し寧ろ成長佳良なるの結果を得たり. 此の程度の蒟蒻精粉混入にては動物膿の成長には殆ど障害を及ぼすことなし.
(3) アセトン, エーテルにて處理乾燥せる牛膵臟より酵素液を調製し, 蒟蒻マンナンに作用せしめて, マンナーゼを定性的に檢したる結果は陰性を示したり.
(4) 細菌マンナーゼを精製蒟蒻マンナンに作用せしめ, 反應液をアルコールに依り精製し醋酸酸性 Phenylhydrazin 液を加へ Mannohydrazon の結晶の析出を檢せり.

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