栄養学雑誌
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放射線が栄養に及ぼす影響と摂取食品との関係 (第I報)
見目 明継岩尾 裕之
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1962 年 20 巻 2 号 p. 70-76

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抄録

体重約260gの wister 系雄白ネズミを, 8%カゼイン飼料投与, および25%カゼイン飼料投与の2群に分け, 飼料を1尾1日15gずつ10日間与えた。その後直ちに各群を2分し, 計4群となした。25%カゼイン飼料投与の1群と, 8%カゼイン飼料投与の1群に, 60Coガンマー線600レントゲンを, 1回, 1時間を要して全身に照射し, 24時間分ずつ6日間尿を採取した。この間の尿中総窒素排泄量, 尿素排泄量およびアラントイン排泄量を, 各々の非照射群のそれと比較し, 摂取蛋白質量が, これら窒素成分の排泄量にどう影響するかをみた。その結果, ガンマー線照射により, 総窒素排泄量, 尿素排泄量, アラントイン排泄量の何れも増加したが, その割合は, 8%カゼイン飼料摂取群の方が, 25%カゼイン飼料摂取群より大きかつた。総窒素排泄量の増加は, 25%カゼイン飼料摂取群では, 主として尿素排泄量の増加に原因しているが, 8%カゼイン飼料摂取群では, 尿素およびアラントイン以外の窒素成分の排泄量増加も原因している傾向にあつた。これらの事から, 8%カゼイン飼料摂取群では, ガンマー線照射によつて, 蛋白質代謝に大きな影響を受けるが, 25%カゼイン飼料摂取群ではその影響は少なかつたものと推定される。以上の様な結果から, 日常, 蛋白質性食品を多く摂取することは, 電離放射線照射によつて受ける影響を, 最小限にするために有効であると考える。

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