1964 年 22 巻 3 号 p. 94-101
(1) Luteoskyrin の長期経口投与による毒性試験を栄養条件差のある数種の飼料について行なつた。
(2) 対照飼料に Luteoskyrin 添加飼料による飼育6カ月マウスでは肉眼的には肝変化を認めなかつた。
(3) 低蛋白飼料2区では肉眼的に肝変化は殆どなく, 多量の体脂肪の蓄積を見た。
(4) Luteoskyrin 添加低蛋白飼料2区 (精白米基礎飼料) の長期飼育を行ない, マウスの剖検結果, 飼育3カ月頃より肝に腫瘤形成の徴候が見られ飼育6カ月で約50%の肝腫瘤が形成されていた。
(5) Luteoskyrin 添加低蛋白飼料による飼育マウスの肝腫瘤形成は Berman, Opie などの低蛋白食餌による肝の代謝異状, 即ち飼料 (栄養差) によつてあらかじめ作られた肝細胞の持つ異状な代謝と Luteoskyrin とが共同の働きを起こし, 肝にかかる現象を起こさせたものと思われる。