1966 年 24 巻 5-6 号 p. 178-182
食品強化に当たってその味覚におよぼす影響をしらべることは重要な研究課題と考えられる。そこでそのひとつとして, DBT塩酸塩かその理化学的性質によりわずかに苦味を有することから, それを粉末飲料に強化したばあいにおけるその味覚についての官能試験による検討を試みた。
粉末飲料の種類は粉末ジュースおよび粉末発泡飲料の2種類とし, その各々に対し2, 3および5mg%の3段階に強化した各単一試料について, 標本300人を用いそれらの苦味の有無による応答をしらべた結果は, その強化量が3mg%以上では上述のいずれの各試料も1%の危険率で有意差が認められた。
したがって粉末飲料に対するDBT塩酸塩の強化量は嗜好の面から2mg%程度が適正な量であることが推察される。