栄養学雑誌
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放射線と栄養 (第6報)
放射線照射の影響と飼料の蛋白質 level
見目 明継
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1968 年 26 巻 1 号 p. 17-26

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抄録

蛋白質 level 6, 12, 18, 24%の4種の等カロリー飼料で, 生後4週間のウィスター系雄白鼠を飼育し, 放射線照射障害の防止ないし軽減に関する知見を得るために本実験を行なった。飼育試験期間は照射前30日, 照射後30日, 照射は60Co-γ線800レントゲン全身1回照射で, 非照射の対照を置く。以上のうち一部は照射後15時間絶食して検査に供した。以上において観察した要点は次のとおりである。
1) 正常飼育におげる生長効率: 6%飼料は著しく劣るが, 他の3 level 飼料のそれはほとんど差がない。ただし蛋白質効率は12%飼料が最高で, 18%飼料がこれに近く, 24%飼料は6%飼料よりも劣る。
2) 正常飼育におげる肝TBA値: 6%飼料群のそれは特に低いが, 他の3 level 飼料群のそれは等しく, これより高い。
3) 照射後飼育における生長効率: 6%飼料は特に低いが, 他の3飼料はほぼ等しい。ただし蛋白質効率は12%飼料が最高で18%飼料がこれに次ぎ, 6%飼料はこれに近く, 24%飼料が最低である。
4) 照射後30日間における死亡数: 各群10尾中, 6%飼料群が最高 (9尾) で, 24%飼料群がこれに次ぎ (6尾), 12%飼料群はこれより少なく (4尾), 18%飼料群は最低 (2尾) である。
5) 照射後30日の肝TBA値: 6%飼料群のそれが最高で, 照射前4群中最低のそれに近い。他の3 level 飼料群のそれは甚だ低く, 照射前の1/2~1/3である。
6) 尿中窒素排泄量: 尿中窒素俳泄量は各 level 飼料群共に明らかに増加し, その増加量は6%飼料群のそれが最高で, 24%飼料群のそれがこれに次ぎ, 12%, 18%飼料群のそれがはるかに少ない。
7) 肝臓重量: 照射により明らかに増加し, 増加量は6%飼料群のそれが最高で, 18%飼料群のそれが最少である。
8) 肝臓中脂肪含有率: 照射により明らかに減少するが, 減少率は4者接近している中でも, 18%飼料群のそれが最も低い。
9) 臓器重量: 胸腺, 脾臓の Carcass 比は減少する。
10) 以上を総合すると, 観察事項全般にわたって, 60Co-γ線800レントゲン全身1回照射による影響は, 照射前, 照射後に摂取する飼料中の蛋白質 level と相当の関連を持ち, 最も安全度の高いのは12~18%蛋白質 level の範囲で, 特に18%が好適である。24%蛋白質 level のそれは, 6%蛋白質 level のそれと共にきわめて安全度が低い。

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