栄養学雑誌
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飼料中のカルシウム含量が妊娠白ネズミのカルシウム, リンおよびマグネシウム代謝におよぼす影響
第2報 胎仔の無機質含量
関 博麿
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1971 年 29 巻 3 号 p. 129-132

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抄録

妊娠中に親が摂取したCa量によって胎仔の発育および体内Ca含量に影響があると思われるので, Ca 0.534%, P 0.650%およびMg 0.071%を含む第1飼料とCa 1.077%, P 0.650%およびMg 0.086%を含む第2飼料を妊娠各期と各種に組み合わせて投与した妊娠ネズミを, 妊娠22日目に開腹して取り出した胎仔, 20腹, 186匹についてCa, PおよびMg量を測定し, 親が摂取したCa量および実験飼料を投与した時期が胎仔の発育, Ca, PおよびMg量におよぼす影響を観察した。
1) 胎仔1匹のCa含量は平均, A群11.7mg, B群12.5mg, C群11.7mgおよびD群11.6mgで, B群がわずかに多いが, 分散から見て有意な差があるとは思えず, 親が摂取したCa量およびその飼料を摂取した時期による影響は認められず, 初妊の胎仔についてはほぼおなじである。
2) 親が摂取した飼料中のP含量は妊娠全期間を通じて同一であったが, 飼料中のCa/P比が影響したのが1匹平均のP含量は, 後期に高Ca食であったA群14.2mgおよびB群14.6mg, 低Ca食のC群13.6mgおよびD群13.6mgでわずかながら差が出た。体内のCa/P比はいずれも1より少なく, 胎仔の体内PはCaよりも多い。
3) 胎仔1匹の平均Mg含量はA群1.03mg, B群1.08mg, C群1.02mgおよびD群0.92mgで, わずかな差があるが, 妊娠22日目の胎仔Mg量としては正常値と考えられる。
4) 初妊の胎仔無機質含量は親が摂取した飼料に関係なく発育し, 一定値を示した。

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