栄養学雑誌
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女子学生の栄養摂取量と消費熱量
石垣 志津子鈴木 順子
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1975 年 33 巻 2 号 p. 79-83

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抄録

18歳の女子学生238名を対象に栄養摂取状況, 消費熱量を調査した結果は次のとおりであった。
1. 体格は, 50年推計値より身長は2cm高く, 体重は1.2kg少なくやや, やせ型であった。
2. 栄養摂取量は, 動たん比率は割合高かったが, 摂取熱量そのものとしては50年目標同年齢所要量より339Cal低く, 平均1,861Calであったし, 標準偏差が±314Calで, バラツキの大きいことを示していた。その他カルシウム, ビタミンA, ビタミンB2が大幅に不足していた。
3. 食品群別摂取量では, 緑黄野菜, 乳類の不足が目立ち, 穀類のうち米が251gで大幅に減少してきていた。
4. 栄養摂取量と消費熱量の関係は, 摂取熱量が196Calも少なく, これが長く続けば, 体力は消耗して, 由々しき問題になるであろうと推察され, 事実健康診断の結果, 貧血者が22.6%もあった。
5. 栄養摂取量と貧血との関係についてはカイ二乗検定を行なったが, その結果, 体重の少ない者, 熱量の不足している者と貧血者との間に有意差を認めた。また, たん白質不足の者に貧血の傾向が認められ, 鉄分不足と貧血者との関係は有意差を認めなかった。今後貧血者については精密検査を行ないその結果より思考したいと思っている。
以上の状況から, 朝食抜きや手早く食べられるインスタント的な食事をとる等の栄養に対する無関心さが日常の食生活に乱れをきたして, 抵抗力の弱い体質を知らず知らずのうちに構成してゆくものと思われる。

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