栄養学雑誌
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日本人必須アミノ酸摂取量について (第12報)
動物性蛋白質, 植物性蛋白質別必須アミノ酸摂取量の年次変化
松野 信郎
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1976 年 34 巻 5 号 p. 221-231

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抄録

日本人必須アミノ酸摂取量の年次変化を明らかにする研究の一環として, 昭和21~48年の国民栄養調査から算出した動物性蛋白質・植物性蛋白質別必須アミノ酸摂取量の年次変動を検討した。
1. 動物性蛋白質摂取量は年々増加し, 昭和48年には昭和21年の4倍にもなった。しかし植物性蛋白質は年次変化は少かった。アミノ酸摂取量の年次変化も蛋白質の動きと似た傾向のものが多かった。但し動物性蛋白質のリジンの年間変動は動物性蛋白質のそれより小さく, 芳香族アミノ酸は逆に大きかった。
2. アミノ酸パターンの年次変動では, 総摂取量のリジンが年々増加した外は大きな変化はなかった。なお動蛋比 (%) とリジンの相関は高く+0.894であった。動物性蛋白質からアミノ酸でもリジン以外の年間変動は極めて小さかった。植物性蛋白質のアミノ酸の年次変動はいずれも小さかった。
3. 動物性蛋白質と植物性蛋白質のアミノ酸パターンを比較すると, スレオニンは動物性蛋白質の方が2割程度高く, リジンは約2倍にもなっていた。芳香族アミノ酸は逆に3割程度低かった。他の5種のアミノ酸は両蛋白間にそれ程大きな差はなかった。
4. 動蛋比とリジン量との関係式を計算すると, 動蛋比とリジン摂取量から, Y=0.41X+42.9が得られ, 動物性蛋白質と植物性蛋白質のリジン量 (蛋白質1g当りmg) から, Y=0.47X+41が得られた。 FAO/WHO (1973) 提案のアミノ酸スコア算出の比較基準パターンのリジン量55mgを充足させる動蛋比は上記の式により30%と計算された。(式のX=動蛋比%, Y=リジン量mg/g蛋白質)

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