栄養学雑誌
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女子大生の食物調査と生活時間調査
前川 當子八倉巻 和子村田 輝子吹野 洋子伊藤 令子森岡 加代
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1977 年 35 巻 6 号 p. 307-314

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抄録

女子大生188名を対象に食物調査ならびに生活時間調査を実施した結果, 次のことがわかった。
1. 食物調査
1) 女子人生の平均エネルギー摂取量は, 1,834Calで, 個人別エネルギー所要量に対して充足しているものは33%, 不足67%である。
2) たん白質の平均摂取量は64.5gでこの年齢の女子の所要量に比べてやや上まわっており, 動物性たん白質比率は55%である。
3) 脂肪の平均摂取量は65.8gであり, 脂肪エネルギー比は32.2%である。
4) カルシウム, 鉄の平均摂取量は栄養所要量を下まわり, ビタミン類は調理的損耗を考慮するとビタミンCを除き, 栄養所要量をかなり下まわっている。
5) 食品群別摂取状況については, 穀類の摂取量は241gであり, そのうち粉食の傾向が多い。動物性食品のうち肉の摂取が多く, また, 牛乳・乳製品については一般の摂取傾向より多い。しかし, 野菜のうち緑黄色野菜の摂取は極めて少ない。
2. 生活時間調査
生活時間のうち生理的時間に約10時間, 学業時間に4時間を費やしている。また, 家事作業時間に1時間, 自由時間に約5時間, 通学を含めた移動に3時間を費やし, 生活環境別の相違が明らかにみられる。
1日のエネルギー消費量は1,877Ca山で, 生理的時間に30.2%, 学業時間20.0%, 家事作業時間5.9%, 白由時間23.6%, 通学その他の移動20.2%を消費している。生理的時間, 学業時間についての消費には学生間の差はないが, 家事作業時間, 自由時間, 通学時間その他の移動にはかなりの差がみられた。
栄養出納については, 摂取量1,834Cal, 消費量1,877Calと均衡はとれている。
3. 個人別栄養摂取と体位
A群はエネルギー摂取量2,689Calと高く, 他の栄養素も所要量を上まわっている。B群はエネルギー摂取量1,959Calで, たん白質, 脂肪, ビタミンCは所要量を上まわり, 全体的に摂取状態は良好である。C群はエネルギー摂取量1,217Calで, すべての栄養素はかなり低いことがわかった。体位については, 栄養摂取量の高いA群は体重が平均値より下まわり, B群は身長別体重の標準域にあり, 栄養摂取量の低いC群は体重が平均値より上まわっており, 青年女子の減食の傾向がみられた。
4. 生活環境別栄養摂取と生活時間
女子大生の生活環境条件により自宅生, 下宿生, 寮生に分けて検討した。
自宅生の平均エネルギー摂取量は1,841Cal, 下宿生1,825Cal, 寮生1,835Calで, その他の栄養素についても生活環境別摂取には差はみられない。生活時間については, 生活環境別の相違がみられ, 家事作業時間は自宅生55分, 下宿生107分, 寮生28分と下宿生の家事作業時間が多い。自由時間については, 自宅生248分, 下宿生264分, 寮生293分を費やしている。そのうち, 勉強, 読書に約100分を費やしている。その他自宅生と下宿生はテレビに, 寮生は談話に多くの時間を費やしている。通学時間を含めた移動に要する時間の合計は, 自宅生が最も多く約3時間にもおよび他の生活をきりつめていることがわかった。

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