栄養学雑誌
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鉛投与ラットの身体発育及び毒性発現に及ぼすカルシウムの影響
江指 隆年鈴木 和男横田 フミ鈴江 緑衣郎
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1979 年 37 巻 4 号 p. 181-187

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抄録

鉛中毒による身体発育障害に対するミネラルの影響をみる目的で, S.D.系幼若白ネズミを用いて実験を行った。
飼料たん白質を卵アルブミンとし, 4%及び13%レベルに調節した。またミネラルとしてCa/P比が0.25の低カルシウム群と1.5の正常カルシウム群とに分けた。3週間飼育を行った結果次の事実がわかった。
飼料効率は13%アルブミン群が4%アルブミン群よりもよく, Ca/P比が1.5群がCa/P比が0.25群よりも高く, 鉛非投与群が鉛投与群 (1,500ppm) よりも高かった。
血中鉛量は4%アルブミンCa/P 1.5群では, 9.46μg/10g blood と低く, これに反してCa/P 0.25群では16.1μg/10g blood と高くなり, Pに対してCaが多いほど鉛の残存率が低くなることがわかった。肝臓の鉛蓄積量もCa/P比が高いほど低い値を示した。
体重増加は勿論Ca/P比1.5群が0.25群よりも良好であった。
鉛中毒の症候の1つとして重要な血液性状は, Ca/P比1.5群の方が, 赤血球数, ヘモグロビン値, ヘマトクリット値, 血液比重と何れも高い傾向を示した。δ-アミノレブリン酸脱水酵素活性には有意差は認められなかった。
以上の結果より鉛中毒にはCa/P比が強い影響をあたえることがわかった。

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