1982 年 40 巻 1 号 p. 21-29
著者らは, 実習学生から数年にわたり自覚症状調査 (アンケート) によってその疲労 (自覚疲労度) が激しいという訴えを聞いてきたので, 疲労の実態を客観的に捉えるために, 知覚計, 大脳活動計, Cybernetical Control Number Tester 測定器, 感覚計を用いて, 給食管理実習学生の短大1年生 (18~20歳) 42名を対象とし, 作業別疲労度を測定し次の結果が得られた。
立ち作業の食器洗浄, 仕込みと調理は足に疲労が集中し, 仕込みと調理では, それに加え野菜などの切裁があるので手も疲労している。また, 食券販売など現金を取り扱い, 細かい神経を使う会計では, 手先, 脳に疲れが出ている。しかし発注見習では事務とはいえ, それほど複雑な計算事務ではないので, ほとんど疲れていないということがわかった。
実習学生から耳にしてきた「疲労」は, このような新しい測定器による人間工学的に測定する試みによってそれぞれの作業によりかなり異なった疲れのあらわれることを, 客観的に捉えることができた。