1983 年 41 巻 6 号 p. 353-361
ホワイトルーを大量に調製する時の加熱時間, 労力および味の上で, より好適な条件を探ることを目的に, サラダ油と小麦粉の配合割合とルーの加熱方法について実験を試み, 以下の結果を得た。
1) 2kgのルーをサラダ油1.00に対し, 小麦粉の割合を1.00, 1.25, 1.50, 1.75および2.00に変えて, 同一の火力 (1.7l/分) で130℃まで加熱した。加熱時間はそれぞれ, 15, 17, 21, 23および26分で, 小麦粉の比率が高くなるほど加熱時間が長くなった。
ルーの粘度も小麦粉が多くなるほど高くなり, 1.00:1.00では9×102cpの値が1.00:1.50で20×102cp, 1.00:2.00で82×102cpとなった。
2) サラダ油と小麦粉の比率が, 1.00:1.50よりもサラダ油が多い配合例では表面に浮き脂肪ができる。
3) 官能テストにおいて,1.00:1.00よりも1.00:1.50の試料が油っぽさ, 粉っぽさ, なめらかさおよび粘りを含めた総合評価で有意に好まれ, 1.00:1.00と1.00:2.00との比較でも油っぽさ, 粘りの点で1.00:1.50の試料が好まれる傾向にある。
4) 1.00:1.50の配合比で, ガスによる急速加熱と緩慢加熱および電子レンジ加熱に分けてルーを調製したところ, 電子レンジ加熱のルーはガス加熱のルーより粘度が低くなった。
5) 常温の油に小麦粉を加え, ガス加熱したものより, 電子レンジ加熱の試料が, また電子レンジ加熱より油を130℃に熱した後, 小麦粉を加えガス加熱した試料が, 粉っぽさ, なめらかさの点でそれぞれ有意に好まれた。
以上のことから, 大量にルーを調製する時には油と小麦粉を1.00:1.50の割合で, ガス加熱の場合は油をあらかじめ熱してから小麦粉を入れ加熱することがよく, 電子レンジ加熱も食味と労力の上から有効であるといえる。