栄養学雑誌
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煮出し汁の無機成分と鹹味の関係
松本 仲子藤尾 ミツ子高城 絹代松永 八重子
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1983 年 41 巻 6 号 p. 373-377

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抄録

上煮出し汁 (昆布2%, かつお節4%), 普通煮出し汁 (昆布1%, かつお節2%), 昆布1%煮出し汁, 昆布2%煮出し汁, 複合調味料0.1, 0.3, 0.5%各出し汁の7試料について, ナトリウム, カリウム, 塩素を定量するとともに上煮出し汁, 普通煮出し汁, 複合調味料0.3%出し汁の3試料に, 0.4, 0.6, 0.8, 1.0, 1.2%の食塩を加えたものについて, 出し汁の種類と鹹味強度の関係について官能検査により検討した。また, 複合調味料0, 0.1, 0.3, 0.5, 0.7, 1.0%濃度の出し汁に, 0.5, 0.8%の食塩を加えたものについて官能検査を行い, 旨味濃度と鹹味の関係について検討した。
1) ナトリウム量は, 上煮出し汁45.5mg%, 普通煮出し汁25.7mg%, 複合調味料0.3%出し汁44.0mg%であった。
2) カリウム量は, 上煮出し汁247.5mg%, 普通煮出し汁103.3mg%であったが, 複合調味料0.3%出し汁にはほとんど認あられなかった。
3) 塩素量は, 上煮出し汁230.6mg%, 普通煮出し汁は96.5mg%であった。炎光分析によって定量されたナトリウムを全て塩化ナトリウムと考えた場合の塩素は, 上煮出し汁で70.2mg%, 普通煮出し汁で39.5mg%であった。
4) 出し汁の種類と鹹味強度の関係をみた官能検査結果によると, 清汁として“ちょうどよい”鹹味に感じる食塩濃度は, 上煮出し汁では約0.5%の添加量, 普通煮出し汁で約0.6%, 複合調味料0.3%出し汁では約0.8%と推定された。
5) 旨味濃度と鹹味強度の関係をみた官能検査結果によると, 複合調味料濃度0.1%前後では鹹味が弱められる傾向を示し, 0.5%では複合調味料を加えない0.8%食塩水とほぼ同程度の鹹味となり, 複合調味料の濃度を増すに従って鹹味を強く感じるようになる傾向がみられた。

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