栄養学雑誌
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勤労長期透析患者の無機質摂取量について
勤労長期透析患者の食事管理 (第3報)
松本 恵子奥富 善吉安藤 まち一寸木 宗一
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1984 年 42 巻 5 号 p. 273-279

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抄録

近年, 透析患者の社会復帰を目標に, 透析療法の研究が広く行われている。腎不全患者の無機質に関しては, Kはもとより, P, Mgなど重要性が認められていながら一定の所要量もなく, これらに関する知見も少ない。よって多くの透析患者は, 定期的な生化学的検査値に基づいて食事療法を行っているにすぎない。そこで透析患者の基本食中の無機質含量と血清中無機質含量を測定し, それらの相関性について追究した。
結果を要約すると, 以下のごとくであった。
1) 摂取食事中の無機質含量は, 健常者と透析者において, K (p<0.05), P (p<0.05), Ca (p<0.05) およびNa (p<0.01) で有意の差が認められた。FeおよびMgについては有意の差は認められなかった。
2) 透析患者の無機質摂取量と透析前における血清中無機質含量の相関性を求めた結果, Kではr=0.39, Caはr=0.81 (p<0.01), Pはr=0.15, Mgはr=0.82 (p<0.01), Feはr=0.92 (p<0.001), Naはr=0.84 (p<0.01) であった。

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