栄養学雑誌
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重症心身障害児の体格と基礎代謝量
某施設における調査
高橋 徹三中島 晋浅野 勝己松坂 晃有波 忠雄政安 静子村松 成司
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1984 年 42 巻 5 号 p. 281-287

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抄録

重症心身障害児の健康管理上重要な基礎資料を得るため, 茨城県立コロニーの重症心身棟に入所中の男子23名, 女子18名を対象として, 身長, 体重, 皮脂厚および基礎代謝量を測定した。なお, 基礎代謝量のデータが得られたのは, 男子20名, 女子15名であった。得られた結果は次のとおりである。
1) 昭和56年国民栄養調査成績を基準として比較すると, 身長, 体重は, 女子1名の身長を除き, 全ての被験者で標準値を下回り, 特に体重は著しく下回っていた。皮脂厚も大部分が標準より著しく低値を示した。
2) 1日当たり基礎代謝量は, 当該年齢の基準値に比べて著しく劣っていた。その大きな理由は被験者の体位が著しく劣っていることにあると考えられる。体重当たり基礎代謝量では, 大きなバラツキがあるが, 平均すると男子は基準値とほぼ同じ, 女子ではやや大であった。体重当たり基礎代謝量が比較的高かった理由としては, 被験者の体重が身長に比して軽いことがあげられる。体表面積当たり基礎代謝量では, 被験者の原因疾患, 症状により大きなバラツキがあるが, 一般に, 基準値に比べて低値を示すものが多かった。
重症心身障害児の1日当たり基礎代謝量は, その体重に相当する年齢の基礎代謝基準値に比べて明らかに低かった。

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