栄養学雑誌
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各種肥満指標からみた壮年期男性の健診時における肥満度分布と高脂血症の頻度
増井 秀子東 貴代中村 恵美子菊地 真理正見 秀子山田 要子菊池 康子皆川 智子木原 キヨ子鬼原 彰
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1988 年 46 巻 5 号 p. 237-242

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抄録

ある国家公務員関連職員で退職時健診を受けた50歳前後の男性を対象に, 1986年厚生省日本人の肥満とやせの判定表 (A), 1970年厚生省年齢階級別・身長別体重表 (B), および Body Mass Index (BMI: カウプ指数) (C) により, 肥満度分布と高脂血症の頻度について比較し, 次の結果を得た。
1) 肥満度分布をみると, Aでは“ふとりぎみ”が21名,“ふとりすぎ”が12名の計33名 (33.0%) を示した。Bでは110.1%以上の“肥満傾向”ないし“肥満”が54名 (54.0%) となった。一方, CではBMI25以上の“過体重”および“肥満”が31名 (31.0%) を示し, Aとほぼ同頻度となった。
2) 高脂血症の頻度をみると, Aでは高TC血症が上記33名中8名 (24.2%), 高TG血症は16名 (48.5%) を示し, Bの54名中それぞれ11名 (20.4%) および24名 (44.4%) と比べていずれも高頻度を示した。一方, Cでも31名中それぞれ8名 (25.8%) および16名 (51.6%) となり, Aとほぼ同じ頻度を示した。
3) Aによる“ふとりぎみ”, Cによる“過体重”においては, 高TCあるいは高TG血症がかなり高頻度で認められた。
以上により, 1986年厚生省が発表した肥満とやせの判定表による高脂血症の分布は, BMIを用いたものとほぼ同一であり, 1970年厚生省年齢階級別・身長別体重表と比べて高脂血症の頻度は高かった。したがって, 高脂血症を見逃す場合がかなり存在するものと考えられた。

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