栄養学雑誌
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減塩食調理の食味について (第4報)
調味料の適切な配合
玉川 和子口羽 章子松下 ツイ子櫛田 寿恵
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1990 年 48 巻 4 号 p. 177-185

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抄録

減塩で調味する時に酸味, 甘味を加えた場合の食味上釣り合いのとれた適切な配合割合を, 実際の食品材料, 調理方法の中で官能検査法により検討し, 以下の結果を得た。
調理法は煮物・酢の物を取り上げ, 食品材料は鶏肉・あじ・じゃがいもと, 煮物に大根, 酢の物にほうれんそうを用いた。
1) 煮物に適した調味の配合: 食塩濃度0.3~1%における砂糖の適切量は, 食塩0.3%で1%, 0.5%で2%, 0.8%で2.5%, 1%で3%であり, 食品材料による差はなかった。
2) 二杯酢に適した調味の配合: 食塩濃度0~1%では, 0.5%が, 食酢が少量で適切とされた。じゃがいも・ほうれんそうの場合は, 食塩0.5%で7%, 0.8%で8%, 1%で10%, また0.3%で8%, 0%で10%であり, 鶏肉・あじの場合は, 0.5%で12%, 0.8%で12%, 1%で15%, 0.3%で13%, 0%で18%と, 食塩濃度の増加, 減少に伴い食酢の量は増加した。
3) 三杯酢に適した調味の配合: ほぐした鶏肉・あじの食酢の配合割合は二杯酢と同様の傾向であったが, じゃがいも・ほうれんそうでは酢の量が少ないところで釣り合いが認められた。砂糖の量は食酢量が増すにつれて0.5~1%増加が必要であるが, 釣り合いのとれた量は食品によって固有であった。
4) 試料の形態の違う場合の二杯酢の調味の配合: 鶏肉・じゃがいもの拍子木切り・角切りは, ほぐしたものより食酢は少ない量で釣り合いがとれた。
5) 以上の実験に用いた食塩濃度に対する官能テストの評価から,“うす塩味だが食べられる”を減塩限界濃度とすると, 煮物では0.5%, 酢の物では0.3, 0.5%であった。調味料の配合割合を適切にすれば減塩が可能になり, 更に酢を用いることによって減塩限界濃度を下げることができる。

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