栄養学雑誌
Online ISSN : 1883-7921
Print ISSN : 0021-5147
ISSN-L : 0021-5147
低カリウム食調製におけるごぼうの浸漬条件の検討
内藤 初枝
著者情報
ジャーナル フリー

1991 年 49 巻 5 号 p. 273-279

詳細
抄録

腎不全治療食である低K食調製方法の実践のために, 今回は調理操作の1つである浸漬操作を取り上げ, 試料としてごぼうを用い, 望ましい浸漬方法を調べるために, 溶液温度及び食酢濃度の2つの点から検討した。
その結果は以下のとおりである。
1) ミネラル溶出率: カリウムとカルシウムは, 溶液温度が高く, 食酢濃度も濃いほうが高い溶出率を示した。リンは, 食酢濃度の濃いほうが溶出率は高かった。
2) あくの除去効率: あくが効率よく除去できる条件としては, 溶液温度は30℃, 食酢濃度は0%食酢水が最も望ましい結果を示した。
3) 官能検査: きんぴらごぼうの官能検査では, 溶液温度30℃・食酢濃度5%条件のものは, 好ましくなかった。
これらの結果から, 低K食調製におけるごぼうの浸漬操作条件としては, カリウム溶出率が高く, あくが適度に除かれ嗜好的に好ましい状態を得るために, 溶液温度は30℃程度, 食酢濃度は1%程度が適当であることがわかった。

著者関連情報
© 特定非営利活動法人日本栄養改善学会
前の記事 次の記事
feedback
Top