栄養学雑誌
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食行動にみる食意識の構造分析 (第1報)
幼児をもつ母親の食行動実態
山口 静枝春木 敏原田 昭子
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1992 年 50 巻 1 号 p. 11-20

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抄録

都市及び都市近郊に居住する, 幼児期の子どもをもつ母親692人を対象に, その食行動を喫食, 調理, 購入面から調査し, 以下の結果を得た。
1) 食事の摂取は規則的であるが, 時間的ゆとりはみられなかった。家族の共食状況は夕食より朝食に低かった。
2) 家庭内調理は煮物, 焼き物, 炒め物を中心とした調理状況であり, 蒸し物調理の頻度は低かった。みそ, 梅干しなどの伝統的な保存食品はほとんど手づくりされておらず, 行事食も誕生日料理, クリスマス料理, 正月料理以外はあまりつくられていなかった。
3) 新しい料理の習得は, 雑誌やテレビなどの身近なマスコミがその情報源となっている。また, 新しい料理への興味のない人は, 行事食づくりやテーブルウェアの使用に対しても関心が低かった。
4) 外食の主な理由は,“家族団らんのため”であったが,“調理が面倒なため”や“調理時間がないため”の外食も月に数回以上の割合が20%みられた。惣菜や調理済み食品の利用頻度も高い傾向を示し, これらには有意な相関が認められ, また利用者の偏りがみられることから, 調理の二極化傾向が顕著になっている。
5) 主成分分析によって, 食行動のパターン化を試みた結果, 幼児をもつ母親たちの多様な食生活スタイルが明らかになった。

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