栄養学雑誌
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岡山県南部農村地域婦人における脂質摂取と油脂使用料理の頻度
鳴坂 美和子
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1992 年 50 巻 2 号 p. 87-95

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抄録

岡山県南部農村地域の家庭婦人63人の食生活調査を実施し, 脂質摂取量の多少〔脂質エネルギー比率26%以上 (A群) 及び25%以下 (B群)〕により, 油脂を用いた料理の状況について検討し, 栄養指導のあり方を探った。
1) A群はB群に比し, 摂取栄養素等充足率は高値であり, 脂質, 魚類を除く動物由来の脂質並びにビタミンB2は有意に高値であった。
2) 脂質摂取量に占める油脂の割合は両群問に有意差は認められなかったが, 油脂類, 肉類, 卵類からの脂質摂取量はA群が有意に高値であった。
3) A群は脂肪エネルギー比率と肉類摂取量間において, B群は油脂摂取量間において有意な相関が認められた。
4) 油脂使用料理数はA群が有意に多く, 朝食において有意差が認められ, トースト, 目玉焼きの出現が有意に多くみられた。
5) 両群とも調理操作の少ない料理が多く出現し, 油脂使用料理は下ごしらえ→加熱型 (P→H型) に最も多くみられた。A群はP→H型, 下ごしらえ→加熱→加熱型 (P→H→H型) において, B群よりも有意に高値であり, 油脂使用料理は調理操作の少ない料理づくりに用いられているようであった。
6) 油脂を用いた料理は多くの食品とともに用いられ, 両群とも1料理に用いられた食品種類数は, 油脂を用いない料理よりも有意に高値であった。
以上のことから, 栄養指導においては, 脂質摂取の適正化を図るため, 料理に用いられる油脂に着目した指導の必要性が再確認できた。

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