栄養学雑誌
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女子高校生及び女子短大生における細身スタイル志向と食物制限の実態について
井上 知真子丸谷 宣子太田 美穂宮川 久邇子
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1992 年 50 巻 6 号 p. 355-364

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抄録

近畿都市部 (大阪市, 神戸市) の女子高校生461人 (以下A群), 女子短大生212人 (以下B群) を対象に, 細身スタイル志向と食物制限の実態についての調査を行い, 以下の結果を得た。
1) 平均身長, 体重は同年齢の全国平均値と比べ, A群は体重が1.5kg軽く, B群は身長, 体重ともほぼ同値であった。ケトレー指数の平均値は両群ともに, 20.5±2.1であった。
2) 体調に関する自覚症状を訴える者は両群ともに60%以上にみられ, 特に“疲れやすい”,“肩がこりやすい”は高率であった。
3) 朝食の欠食率は, A群33.4%, B群51.9%であった。また, A群よりB群のほうが朝食, 昼食の欠食率が高かった。
4) 両群ともに細身スタイルを理想とし, やせたいという願望が強かった。
5) 食物制限の実行経験者はA群71.4%, B群64.2%で, やせ体型の者でも実行中の者が存在した。実行の方法では, 両群とも問題のあるものが多く挙げられていた。
6) 両群ともに, 食物制限の方法に関する知識は雑誌から得ている者が多かった。
7) 食物制限の結果, 体調を崩した経験をもつ者はA群24.4%, B群32.4%であった。
8) 食物制限の結果, 体調を崩した経験をもつ者はもたない者に比べて, 食事を欠食する者, 細身スタイル志向の強い者, 食物制限の方法に問題のある者が多い傾向にあり, また, 食物制限の方法に関する知識の情報源として“自分の経験”と答える者が多かった。

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