栄養学雑誌
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たん白質とアミノ酸スコアからみた南インドマドラス地方の食物摂取状況
神島 めぐみ辻 啓介中川 靖枝三浦 洋
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1993 年 51 巻 5 号 p. 259-266

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抄録

南インドマドラスにおいて, 100世帯を対象に, 連続7日間の食事調査を行い, 有効回答が32世帯であった。乳及び乳製品, 豆類 (ダル), 米の摂取量とそれらの栄養面での重要性を検討した。更に, 調査した食事のアミノ酸スコア, PFC比を日本のそれと比較検討した。
1) 1人1日当たりの摂取量は, エネルギー1,687kcal, たん白質59.6g, 脂質35.8g, 糖質277.9gであった。
2) 日常食におけるエネルギー摂取量に対する寄与率は, 米がもっとも高く, 34.5%であった。
3) たん白質摂取寄与率では, 豆類28.3%に次いで, 米21.2%, 乳及び乳製品9.4%であった。乳及び乳製品は摂取回数割合は高いが, 高価なため摂取量は少なく, たん白質寄与率は低かった。
4) 食事のアミノ酸スコアは81, 第1制限アミノ酸は含硫アミノ酸であった。
以上の調査結果は, インドにおけるたん白質供給は量的には満たされているが, 質的にまだ問題があり, とくに卵と植物性食品からの含硫アミノ酸の供給が重要であることを示した。

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