凍結イワシ磨砕物に鶏卵及び大豆油を加えて混合したイワシ乳化物及びその処理段階の製品は, 魚肉の新しい素材と考えられる。これを調理に利用し, その嗜好性を官能検査によって調べた。
1) イワシの処理段階における栄養価は, オキアミ処理物を加えることによってカルシウム, ビタミンAが増加した。
2) イワシ処理物のみよりオキアミ処理物を混合することにより, 嗜好性が向上し, 製品を改善することができた。特に色の改善には効果があった。
3) 日常料理に用いた場合, 加熱法では焼く, 揚げるなどの料理 (ハンバーグ, お好み焼き, のり巻き揚げなど) が好まれ, また, 粘稠性を利用した料理や汁に流し込む料理 (シチュー, カレーシチュー) も好まれた。
4) イワシの素材色がそのまま残るものや, 淡白な調味のものは好まれなかった。
5) 学内集団給食200人分の調理では, 各試作料理とも平均残食量より少量で, よい評価を得た。