栄養学雑誌
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ストレス負荷によって起こる身体的, 精神的変化に及ぼすβ-カロテン及びビタミンCの影響について
飯島 由美子添野 尚子猪俣 美知子塩入 輝恵斎藤 禮子木元 幸一苫米地 孝之助三田 禮造井上 喜久子池上 幸江小林 修平
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1995 年 53 巻 2 号 p. 93-102

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抄録

ヘルシンキ宣言に基づき, 協力を得られた健康な女子大生17人を対象に, 緑黄色野菜や果物に多く含まれるβ-カロテン及びビタミンCを経口投与し, ストレス負荷時の生体に与える影響を観察した。実験期間は12泊13日とし, 前半6日間, 後半6日間に分け, それぞれ5日目, 6日目に1日6時間の連続計算によるストレス負荷を行った。被験者17人は3群に分け,β群にはβ-カロテンを30mg, C群にはアスコルビン酸300mgを, そしてP群には偽薬としてサフラワー油30mgをそれぞれ実験期間の後半6日間に投与した。主な結果は, 以下のとおりである。
1) 朝の自覚症状は, 前半は3群とも増加する。後半ではP群は増加するが,β群, C群はあまり増加せず, 特にβ群とP群の間に有意差が認められた。
2) 血漿β-カロテン濃度は, 前半はいずれの群も減少した。後半は, C群とP群が減少を続けたが,β群はβ-カロテン投与により, 血漿濃度が増加し, 後半5日目にP群との間に有意差がみられた。
3) 血漿VC濃度は, 前半は四訂日本食品標準成分表で計算した食品中のVC含有量100mg/日 (分析値66.6mg/日) では, ストレスを負荷してもあまり変化せず, また尿中VC排泄量も変わらない。しかし後半は, C群では血漿VC濃度は増加し, 尿中VC排泄量も有意に増加する。
4) 尿中ノルアドレナリン, アドレナリンともに, 前半のストレス負荷により排泄量が増加し, 後半の調整日には減少したが, 負荷により再び増加した。特にβ群が他の2群に比較して負荷による増加傾向が強くみられたが, 有意差はなかった。

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