栄養学雑誌
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小児糖尿病サマーキャンプにおけるエネルギー出納に関する研究
近藤 恵久子山下 良子藤澤 隆夫
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1996 年 54 巻 3 号 p. 151-160

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抄録

小児糖尿病サマーキャンプにおける活動量の実態を知る目的で, 生活時間調査 (タイムスタディ) を行い, 消費エネルギー量を算出した。更に, 血糖値と, 指示量に対し超過した消費エネルギー量及び補食との関連を分析した。また, カロリーカウンターの有用性も検討し, 次の結果を得た。
1) 食事及び間食より与えられた指示エネルギー量から, タイムスタディ法より計算した消費エネルギー量を差し引いたエネルギー量は, 平均-216kcalとなり, 指示エネルギー量に対して平均-10.8%で, 消費エネルギー量のほうが多かった。
2) 補食から摂取されたエネルギー量は平均293kcalで, 指示エネルギー量の平均15.0%に相当し, 摂取量の不足をほぼ補う量であった。
3) 生活活動指数は平均0.58%で, 調査日の生活活動強度は “中等度” と判断された。
4) オリエンテーリングは, 平均72分間の所要時間に, 活動時総エネルギー消費量平均360kcal, 活動代謝量平均285kcalを消費し, 指示エネルギー量に対して各々平均17.9%, 14.1%を占めた。
5) 指示エネルギー量に対する消費エネルギーの超過量の比率と, 就寝前の21時 (食後3時間) の血糖値との関連では, 相関係数r=0.620 (p<0.05) が得られ, 有意な相関性が認められた。
6) 夕食後3時間の21時に低血糖者が4人認められた。これら患児では, 指示エネルギー量に対する消費エネルギーの超過量の比率が平均-18.7%と, エネルギー消費が著しく大であったが, 補食の比率も平均22.7%と高く, 結果的に総エネルギー摂取量はほぼ平衡となっていた。
7) カロリーカウンターの測定値は, タイムスタディ法より計算した値との間に相関係数r=0.935 (p<0.001), 回帰式y=0.95x-41.1が得られ, 強い相関関係が認められた。また, タイムスタディ値に対するカロリーカウンター値の比率は平均93.0%であった。

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