栄養学雑誌
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家庭電話回線を利用した新しい栄養教育
生活習慣改善支援システム (アイライフ: 高血圧患者用) について
山口 節子塩見 利明小川 斉廣田 泉野口 宏小林 正宮田 伸樹
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1996 年 54 巻 5 号 p. 295-305

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抄録

高血圧早期治療のためJNC-Vのアルゴリズムに準じ, 3か月の生活習慣改善の目的で, 家庭電話回線を利用した生活習慣改善支援システムを開発した。栄養教育については, 患者に食品カードを使って目標量である食品を摂取させた。毎日電話によって摂取を確認させながら栄養指導を行った。著者らは, このプログラムを, アイチイカダイガク・ライフスタイル・モディフィケイションを略しアイライフ (高血圧患者用;version1) とした。
アイライフを使った非薬物療法により, 軽・中等症の本態性高血圧患者19例を対象に12週間臨床試験を行った。
1) 12週間のアイライフ治療コンプライアンスは, 98.1%であった。
2) 治療前後の比較では, 体重, BMI, 外来収縮期・拡張期血圧, 24時間収縮期血圧は有意に低下した。
3) 患者が測定したパラメータの中でも歩行数はほとんど目標 (1日1万歩) を達成し, アルコールもまた目標量以下 (エタノールとして1日30ml以下) にとどまった。
4) 治療前後の栄養摂取量の比較では, 摂取エネルギー, 脂質, 糖質, アルコール, 食塩が有意に減少した。
アイライフは, 軽・中等症高血圧患者に対して, 在宅での栄養や運動を安全に実施させるために有効な在宅支援システムと思われた。

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© 特定非営利活動法人日本栄養改善学会
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