栄養学雑誌
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低ナトリウム, 高カリウム, 高マグネシウム調整塩の味覚テスト並びに電解質出納による臨床栄養学的研究
伊藤 和枝川崎 晃一
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1997 年 55 巻 5 号 p. 263-272

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抄録

低ナトリウム (Na), 高カリウム (K), 高マグネシウム (Mg) のミネラル調整塩調味料の味覚的な適合性について検討し, 摂取時の尿中電解質出納を中心に, 血圧並びに関連因子への影響を臨床的に検討した。
1) 味覚テストにより, 澄まし汁では塩味, 風味, うま味及び総合的な好みの判定で, 通常調味料とミネラル調整塩調味料の間に差を認めなかった。みそ汁でも, 塩味はミネラル調整塩が薄いと判定されたが, 総合的好みの判定に差は認められなかった。
2) 同一献立を用い, 市販の食塩, しょうゆ, みそを使用した7日間と, 調味料のみをミネラル調整塩調味料に変えた7日間の尿中電解質出納を比較した。ミネラル調整塩調味料使用により, 尿中Na排泄量は有意に減少し, K排泄量とMg排泄量は有意に増加した。
3) 収縮期血圧の有意な低下が認められ, 拡張期血圧には差を認めなかった。尿中アルドステロン排泄量は, 有意ではないが増加の傾向を示した。
現在の日本人の食生活の特徴の1つである食塩過剰, K, Mg摂取量の不足傾向に対して, 調味料をミネラル調整塩調味料に変えるだけで, 食事内容を変えずに好ましい状態に修正することができるだけでなく, 味覚的にも満足でき, 長期にわたる継続がより可能になったことが明らかになった。

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